アンバランス [音楽]
彼女の「声」を乗り越えられたなら、
貴方にとって忘れられない存在になるだろう。
それほどの凄さを、エイミー ワインハウスは持っていた。
悲しいことに、その存在を知った時にはすでに、
27歳という若さで旅立ってしまっていたのである。
稀にみる逸材・・・
おそらく、そう表現して差し支えない資質を持っていたはずだ。
ベテランのジャズ シンガーかと思わせる低くしゃがれた声だけど、
抜群の歌唱力と光るセンスを兼ね備えた特別なシンガーだった。
だが、そういう人達に多いのは、心のアンバランスさなのかもしれない。
歴代の天才ミュージシャンが辿った道を、彼女もまた歩いてしまった。
普通の人達が得意な「妥協」という武器を
使う事が出来ず、常に完璧を求め、自分の限界を越えようとまい進する。
その反動は大きく、得も言われぬ不安や恐怖や葛藤が襲ってくるのである。
結果、アルコールや薬物に依存していってしまうんだけど、
そういう人達が生み出した音楽は、
なぜかリスナーの心に響き魅了する。
そして、居なくなって時間を経ても、新しいファンを獲得していくのだ。
【BACK TO BLACK】
Amy Winehouse ’15
https://www.youtube.com/watch?v=ojdbDYahiCQ
- Tears Dry On Their Own -
本家イギリス盤のジャケットはこんな感じ。
破天荒な日常が嘘のように、そっけなく椅子に座っている。
きっと、素の彼女に近いのだろうけれど、
私にはどうしても寂しげに見えてしまうのです。
なので、アメリカ盤のジャケットの方が好きだ。
ミュージシャンだもの、見せ方も大切な要素だ。
私達だって、無理に素をさらけ出すことはない。
必要以上の情報が氾濫する、このご時世。
それに振り回されて壊れていくよりは、
あえて知らない方が命を守る事が出来るはずだ。